転職に成功する人の面接術
転職するための最大の難関は、面接です。面接を乗り切らなければ転職の成功はありません。この対策は転職準備の中でも最も時間と労力を使う価値があります。さらには知恵や知識も総動員した上で整えておく必要があります。
「絶対に受かりたい!」という人のために面接ですぐにつかえる成功のヒントをまとめましたのでぜひ活用してください。
いかに簡潔に自らをアピールできるか
面接対策で最重要ポイントとして意識すべきは、限られた時間の中でいかに効率よく自分の魅力を面接官に伝えるかです。
短い時間で濃い内容を伝えるために
面接は長くても1時間ほど。短い場合には10分や20分というケースも少なくありません。応募者が殺到するような企業であれば、特に一次面接ではそうした短い時間で勝負をかけるしかなくなるでしょう。
他の応募者も同じような時間で面接をしているわけですから、「時間が足りなかった」という言い訳は通じません。その短い時間の中でどれだけ「自分」を伝えられるか、これが成否を分けるのです。
「エレベータートーク」と呼ばれる手法があります。これは、アイデアを持ってはいるけれども資金を持っていない人が、出資をしてもらいたいと考える相手と偶然を装いエレベーターに一緒に乗り込み、そこでそのアイデア等をアピールして資金を調達することに成功したという話からくるトークスキルのこと。
面接ではこのエレベータートークにも似たスキルが求められます。
言葉で言うのは簡単ですが、実際するにはかなりの難易度です。ですが、数分で自分の長所や人柄を伝えることができたなら、それは圧倒的なスキルに変わります。面接中の短い時間でも自分の良いところや採用することのメリットを効率よく伝えることができ、採用へ一歩近づくことができるからです。
面接では何をどう伝えるべきか
ぶっつけ本番でなんとかなる!の精神で面接の臨んでも、きっと成功は難しいでしょう。転職に成功する人は、必ずそれ相応の準備をしているからです。エレベータートークの起業家も同様に、全て用意周到に整えていたからこそ成功することができたのです。
面接を受ける前に、必ず伝えるべきことを整理しておかなければいけません。いろいろな側面を見ながら整理していく必要がありますが、そのために欠かすことのできないステップは3つです。
・自らの強みや採用することのメリット及びその他の特徴・興味を書き出す
・これらを企業側へと伝えるアピールの方法をいくつか考える
・実際に文章に起こして肉付けをしながら組み立てていく
このように段階を踏んでいけば、少しずつ面接で話すべき内容が見えてきます。
もちろん自らが想定した通りに面接が進むとは限りません。むしろ思い通りに進まないことの方が多いでしょう。カッチリと型を決めてしまうのではなく、どのような流れになってもアピールができるよう、想定外のシチュエーションもイメージしながら準備をしておくことをお勧めします。その想定外を想定内にしてしまうのです。
面接官が必ずしも人事部の人間であるとも限りません。社長のようなトップや幹部が面接をするケースも多々あります。そうした状況も想定しながら、もし面接を受ける企業のトップの情報が獲得できるのであれば、それも踏まえた上で話す内容等を整理しておくといいでしょう。
自分のことをアピールすることは重要ですが、独りよがりのアピールになってしまうと人間的に面倒くさい人というレッテルを貼られてしまうリスクがあります。それを避けるためには、相手に合わせるための準備も必要です。
面接の練習でわかった自身のアピール体験
Tさんは転職活動のための準備をしていましたが、人前で話すことが元々苦手だったために、面接に不安を覚えていました。事前に自分のアピールポイントをしっかりとまとめておこうと考えました。企業研究によって得た内容にマッチした自らの強みを積極的に伝えるための作戦を練りだしたのです。
できるだけシンプルに伝えられるよう、Tさんはあらかじめアピールポイントも紙に書き出し、具体的な数字も並べながら書いた内容を頭に叩き込みました。
ただ頭に入れるだけではなく、それをスラスラと言えるように練習した結果、自らの持つ強みやアピールポイントに自信を持つことができました。
面接はやはり緊張し、また、想定外の質問もある中で練習通りとはいかなかったものの、要所要所では自身の特徴を簡潔に伝えることができました。それが良い印象につながり、採用を勝ち取ることができたのです。Tさんは、面接の準備に時間をかけてよかったと感じています。
トークスキルが面接スキルと直結するとは限らない例
Hさんは、上で紹介したTさんとは異なり、人前で話すのが得意だと感じていました。しかもそれが好きなので、転職活動の面接においてもおそらく問題なく突破できるだろうと考えていました。
しかし、その思いも虚しく転職に失敗。書類審査には通るものの、面接で気に入ってもらうことができなかったのです。
ある面接でHさんは面接官にこう言われました、「Hさんを採用するメリットは何ですか?」でもHさんは、上手に答えることができませんでした。なんとか説明し自らのアピールポイントを伝えなければと思ったHさんは、言葉が長たらしくなり、シンプルな質問にシンプルに答えることができなかったのです。
話すことは苦でなく、得意であると自負していたHさんでしたが、しかし、時間の限られた面接では、そのトークスキルは通用しないと悟りました。転職はそんなに甘いものではないと痛感し、いかに事前の準備が重要であるのかも思い知ったHさんは、次はしっかりと丁寧に準備を整えてから面接に挑もうと決意しています。
2.転職は年収にこだわるべき?
面接で年収アップの交渉は可能か
転職を考える理由の一つに「年収アップ」を掲げる人は少なくありません。現状の収入額に満足していなければ、それを目的に勤務先を変える、あるいは業界・職種を転職によって変更するというのは、当然のことです。
ただ、転職後すぐに前職よりも多くの給与を受け取れることは決して多くはない、そう知っておくことも大事です。事実、転職によって収入がアップする人の割合は非常に少ないのです。
何も言わなければ収入を上げてもらうことはできないだろうと、面接で年収や月収などの交渉を行う人もいます。これから転職しようと考えている人の中にも、交渉を念頭に置いている人がいるのではないでしょうか。
もちろん、これは不可能ではありません、交渉すること自体は否定しませんが、やはり求人に書かれている通りの給与額で雇われることになると理解しておくといいでしょう。
当然、スペックが高く実績が非常にあり応募企業にとっても魅力的な存在であれば、面接時の交渉によって収入のアップを図ることも可能です。ポイントとしてはまさに以下に集約されるのではないでしょうか。
・実績や前職で残した結果が素晴らしいかどうか
・転職市場において価値が高いかどうか
・それらを面接で上手にアピールできるかどうか
以上のことがクリアできていれば、面接時の交渉で転職前を上回る給与額を約束してもらえる可能性はずっと高まるでしょう。もちろん、自身の思い込みであってはいけませんし、実績や価値があったとしても、面接でそれを伝えられなければ意味がありません。
いずれにしても過度な期待はNGです。転職で年収が上がる人はごくわずかであり、しかも面接で交渉した上でそれを実現するのは、さらにハードルが高いと考えましょう。
面接で交渉できるとすれば、「前の職場(現在の職場)と同等の給与額で働きたい」という内容ではないでしょうか。これなら応じてもらえる可能性は高まりますし、さほど難しい交渉とはならないはずです。
転職による年収アップを実現させるための方法
よほどのことがない限り「年収が下がってもいい」と考える人はいません。条件が整えばそれもアリかもしれませんが、多くの人は、特に転職希望者はそれによって収入が上がることを少なからず期待しているはずです。
転職によって年収をアップさせるには、まず実績をしっかりと積み上げることです。実績と残してきた結果、これによって転職直後の待遇が判断の基準になります。例えばもう少し転職の時期を遅らせ、その間に大きな結果を残してから本格的な転職活動に乗り出すというのはとても賢い選択といえるでしょう。
あるいは、個人で転職活動の全てを行うのではなく、人材紹介会社、いわゆるエージェントを活用するのも一つの方法です。
転職に関するエージェントは企業や求人を紹介してくれるだけにとどまらず、条件や待遇に関する交渉もサポートしてくれるのです。このサービスを活用しない手はありませんし、全く視野に入れずに転職活動を行うのはむしろもったいない話です。
どのような交渉を行うのかは転職希望者の状況、エージェントスタッフの腕、応募先企業の反応などによって異なってきます。ですが自らでは難しい交渉を行い給与額アップやその他条件の向上を実現できる可能性が高まることも期待できます。
転職エージェントは転職に関するプロフェッショナル。積極的に相談するほど価値を高められます。必ず希望に沿った回答が得られるとは限りませんが、非常に効率がよく可能性が高まる方法であることは間違いありません。
年収に固執することで転職に失敗するケース
転職することを検討していたAさんでしたが、どうせ転職するのであれば現在よりも待遇の良い企業に移ろうと考えていました。
転職活動を行い一つの企業から採用のお知らせが届きましたが、しかし、手当なども含めると収入面でも今の企業よりもダウンしてしまいます。
Aさんは転職エージェントを活用し活動していたので担当のキャリアコンサルタントに相談し、内定を出してくれた企業に給与額をアップするよう交渉してもらいました。ですが、入社後すぐに現在の企業よりも高い収入額を約束することはできないと企業に言われてしまい、キャリアコンサルタントはAさんにその旨を伝えました。
しかし一方でキャリアコンサルタントからは、「非常に将来性のある会社なので、働いていればそのうち給与の額も上がるはず」と言われたものの、Aさんはそれを拒否。結局、採用通知を送ってくれた企業には断りを入れ、別の企業を探すことにしたのです。
Aさんはその後も収入を含めた待遇にこだわり転職活動を行っていましたが、それ以降は内定をもらえないままでした。数ヶ月後、Aさんが入社を見送った企業は新しい事業が成功し、業績も順調にアップ。
その事実を知ったAさんは、キャリアコンサルタントの意見を素直に聞いておけばよかったと後悔したものの、時すでに遅し。今も転職先が見つからないまま、活動を継続している状態だそうです。
給与額よりも事業内容や職務内容を重視して成功した転職例
単調な業務内容に違和感を覚え、しかも就業時間がとても長く残業も非常に多い会社に勤めていたJさん。もっと自分のやりたいことができる企業で働きたいと思い、転職活動に乗り出しました。
Jさんは転職活動の末、一つの企業から内定を受け取ることに成功。月収で見たときには今の企業よりも低くなるものの、しかし業務内容と企業の業績等には不満がなかったために転職を決意しました。
実際に働いてみるとやりがいもあり、仕事に対して正当な評価をしてくれる企業でした。その上、社員に対して優しかったその企業では、ボーナスの額も業績や成績によってアップ。月収は下がったものの、求人に記載されていた以上のボーナスによって、年収で見ればは前職よりも多くの報酬を受け取っていたJさん。
収入にこだわらない転職でしたが、しかし、結果的に待遇も良くなって満足しているようです。
3.おわりに
書類選考を通った後、転職成功の最後の鍵を握っているのは面接です。まずは自分のことをしっかりと整理しましょう。条件や待遇の交渉をするときにも重要な要素です。
そして自分を過信せず、自分の能力や実績に見合わない条件交渉など期待しすぎないようにするのが得策です。
転職に成功したか否かは内定が出た瞬間ではなく、何ヶ月後、場合によっては何年後かにわかることの方がほとんどです。むやみに焦るよりも「この会社に入れて本当によかった」と思える転職ができるように、万全の準備をして挑んでください。