転職した新しい職場になじめない時、どうしたらいい?
希望の会社に採用されたものの、どうしても新しい環境に馴染めなかったとしたら、あなたはどうしますか?もし「人間関係に嫌気がさしたから転職した」という人であれば、新しい職場にもなかなか馴染めないというケースも出てくるはずです。
非常に前向きな理由で転職した人であっても、同じように新たな環境に馴染めないと感じることも少なくないのではないでしょうか。
新しい職場で気持ちよく結果をだすために、すぐにできることをまとめました。ぜひ参考にしてください。
転職後の満足度アップに不可欠なコミュニケーション
新しい環境・状況を冷静に眺める
新しい環境にいち早く馴染むためには、まずはその環境や自分が置かれた状況を冷静に確認することです。新しい企業内でのルール、慣習、雰囲気、そうしたものをアンテナを張りながらキャッチし、それに抵抗感を持ったり「違うのではないか」と感じたりしても受け入れることから始まります。
環境や状況に馴染むとは、受け入れることです。受け入れを拒否した瞬間、「空気を読めない新参者」のレッテルを貼られてしまい、その後の仕事もしにくくなってしまうでしょう。
また、職場での人間関係を早めに把握しておくことも求められます。役職がありますから表面上の上下関係はすぐに掴めるかもしれません。さらにそれ以外の力関係もしっかりと把握しておかなければいけません。誰の力が強いのか、誰の意見が通りやすいのか、誰がリーダーの素質を持っており、誰が潤滑油の役割を担っているのかなど、それぞれの社員の特徴を掴んでおきましょう。
力は持っていないけれども、考え方や手法がまともであり参考にすべき人もいます。そうした人物像を把握し、それらの人たちとの適切な距離感と接し方を心がければ、より仕事がしやすくなるのではないでしょうか。
こうした作業を効率よく行うには、観察とコミュニケーションが不可欠です。できるだけ多くの人と接し、できるだけ多くの情報を得ましょう。
社内でのコミュニケーションのみならず、飲んだり食べたりなども共にすることで、見えなかった会社のルール、慣習、人間関係などが把握できるようになります。
転職直後は特にこうした点に注意しながら仕事に取り組んでください。高い意識で臨めば、それだけ新しい環境や状況に馴染むのも早まります。
前職の生かせる部分と改善部分を意識する
新たな環境や状況に馴染むべきとは言っても、前職の経験を全く生かさないような働き方では意味がありません。大学生から社会人になったわけではなく、別の会社で社会人経験を積み、それなりの実績を残してきたはずです。それを新天地でどう活かすかを考えるべきでしょう。
それは仕事のやり方かもしれませんし、人との付き合い方かもしれません。
新たに与えられたルールの中でも、それを生かすことは可能です。例えば、前職ではチームではなく個人プレーだったとしても基本は同じです。
チームで動いていたとしても、個人の能力が発揮されれば自ずと結果が出るからです。集団で動くことで活動幅が制限されることも出てくるものの、その制約の中で自分自身の能力を出し切れば、周囲に自身の価値が伝わるからです。
もちろん改善部分も意識する必要があります。個人で動いていた前職からチームで動く企業へと転職した場合であれば、より一層のコミュニケーションが必要になってくるででしょう。
これも仕事のやり方はもちろん、考え方や物事の捉え方を根本から改善せざるを得なくなるケースも出てくるかもしれません。大事なのはバランス。生かせる部分と改善部分とのバランスを上手に図り、うまく適合していくことが求められます。
前職の経験を生かす際も、そして改善する際も、与えられた業務を遂行するという点に誠実であるべきという点は変わりません。
全ては仕事をこなすため、新たな職場で結果を残すためであり、それ以外を過剰に考える必要はないのです。
「この会社へ転職するという決断は正しかったのか」、「与えられた仕事以外に重要が業務があるのではないか」などと疑問に思うこともあるでしょう。疑問をある程度抑え込む形にはなりますが、与えられた仕事を完遂していけば必ずキャリアにはプラスに働きます。それが実績となり、社内での立ち位置にもいい方向へと変化が現れるからです。
まずはそこを目指すようにしましょう。転職の結果に満足するためには、この意識と考え方、そして行動が重要になってくるのです。
主張は評価を得てから行うべきという好例
Aさんは、経理の仕事をしており、転職後も同じ職種で働くことになりました。
しかし、勤める会社が変わると帳簿を管理するソフト変わり、Aさんは新たなソフトに慣れることがなかなかできませんでした。単純に、前に勤めていた会社の方が有能なソフトだったと感じたのです。
他の社員は、当たり前のようにそのソフトを用いて処理をしています。Aさんはこの点に少し不満と疑問を感じたものの、「慣れれば大丈夫だろう」と思い、そのまま特に周囲にも言い出さずに与えられた仕事を淡々とこなしていきました。
やっと新たな企業の環境や仕事、そして帳簿を管理するソフトの扱いにも慣れてきたAさん。元々能力があったため、上司や同僚はAさんをチームの一員として認識し、すっかりと居場所もでき上がりました。
Aさんは自分の意見や主張なども言えるような雰囲気を獲得したと感じ、入社以来ずっと感じていた帳簿管理ソフトについて言及してみました。実は、会社も新たなソフトやシステムを導入した方がいいのではないかと考えていたこともあり、Aさんに前職のソフトの特徴や具体的なメリット・デメリットなどに関する意見を聞いてきたのです。
Aさんは、自身が使いやすくコストもあまりかからないソフトやシステムを提案。会社はAさんに、新たな帳簿管理ソフトの導入に関する仕事を与え、Aさんの意見を中心に選定や導入をしようと前向きに検討してくれました。
Aさんは自分の意見をしっかりと聞き入れてくれたことに喜びを感じ、与えられた仕事を全うするようさらに日々努力を重ねるようになりました。
この例からわかることは、社内の人に意見をするタイミングは必ずくるということです。最初の段階でシステムには疑問を感じていたわけですが、そこででしゃばることなく、「まずはこのシステムに慣れよう」と考えたところが成功の要因になりました。
もし入社早々、「ここのシステムは前職よりも使いにくい」と主張していたらどうだったでしょうか。新たなソフトを導入することをすでに検討していたとしても、「新参者が生意気だ」、「仕事ができないことをソフトのせいにしているのではないか」などと反感を買っていた可能性も否定はできません。
意見や主張は必要であればすべきですが、やはりタイミングが大事。特に転職後は、そのタイミングを間違えると大変です。新たな環境に馴染み、一緒に働く人たちともコミュニケーションをしっかりと取った上で自分の意見を言うようにしてください。
何よりも、その姿勢が求められます。ある程度の結果を残し評価を得てから意見すれば、結果は全く異なるものになるのです。
企業で立場を築くために必要な転職前と後の意識
転職した企業に馴染めない場合
そもそも環境が変わるわけですから、馴染めないと感じるのは仕方がありません。よほど社交的な人でなければ、むしろ即時に馴染むことは難しいのではないでしょうか。
これまでは部下がいたけれども転職後は一番下の立場になった、というのはよくある話。この新たな立場に馴染めないという転職者も多いようです。
また、前の会社では男性ばかりが働いていたけれども、今度の会社は女性の割合が多く、どう接したらいいのかわからないという人も少なくありません。
自由な社風の企業から規律の厳しい社長のワンマン経営のような企業へと転職したケースもそうですし、もしかしたら、その逆のパターンでも馴染めない人が出てくるのではないでしょうか。
言ってみれば、転職前と後のギャップが大きければ大きいほど、それが馴染むための障害になります。転職後にこのギャップを感じてしまっても後の祭り。会社という組織全体を転職者1人の力で変えることなどできるはずもなく、そんなことを考えても現実的ではありません。となれば答えは一つです。
自分がその組織に合わせるしかなく、それ以外に居心地の悪さを解消するための手段はないことを知っておくことです。
転職が成功であったか否か、その基準や判断は転職者自身に委ねられますが、意識を変えてち馴染むことに努力しなければ、到底成功は見えてはきません。何をするにしてもそれをしてからでも遅くありません。入社後は、どのような状況なのかを冷静に見極めながら、焦らずに探っていくようにしてください。
面接時に見極めておきたい企業のポイント
申し出て承諾されるようであれば、転職前に応募先企業へと見学に行くことはとても有意義です。もし見学が無理であっても、例えば面接時に社内の雰囲気を掴み取ることくらいはできるはず。面接官の雰囲気もそうですが、社内ですれ違う人、社屋の作り、そうしたものをしっかりと感じてください。「この企業は雰囲気がいい」と思ったり、逆に「ここは求人票で見るよりも印象が良くないな」と自分のセンサーを立てるのです。
面接は、企業が応募者を見極める場であると思われがちですが、応募者側からすれば企業を見極めるための場です。できるだけ細かなポイントにも目を向けながら、「自分の居場所として最適かどうか」をチェックするようにしましょう。
企業によっては、面接を自社以外の場所で行うこともあります。どこかのホテルなどを利用して行うケースです。会社の雰囲気がわからず、面接でもチェックするのが難しいようであれば、転職エージェントのキャリアコンサルタントに相談し、社内情報をできるだけ多く収集しておきましょう。
エージェントのコンサルタントは、必ず情報を持ち合わせています。そこで働く人たちの年齢層、社内の雰囲気や社風、経営者の考え方などなど、求人票では決してわからない情報を握っていますから、積極的に尋ねてみてください。
もちろん、コンサルタントの抱える企業に限定されますが、エージェントを利用するメリットはこうした点にあることは知っておいても損はないでしょう。
ビジネスライクに割り切るスキルとは
もし事前に企業の雰囲気や環境などを正確に把握することができず、転職後に「非常に馴染みにくい」と感じてしまった場合、ビジネスライクに仕事をするという意識を持つことも助けになります。
企業を変えるのは無理なため自分自身を変えるしかないという、上で説明したことと繋がってくるのですが、その一つの考え方として、この「ビジネスライク」は役に立つでしょう。
特に、苦手なタイプの人がいた場合、この考え方は有効です。
仕事だと割り切ってしまうことで、意外と乗り越えることができるもの。「この人、嫌だな」と感じるから割り切れないのであり、そうではなく、「この人はこういう人なんだ、どうせ仕事上だけの付き合いだし」などと考えれば、少しは楽になるのではないでしょうか。
苦手な人がいると、それが上司などであれば、どうしても接することを嫌ってしまいます。しかし、それでは仕事になりません。仕事で結果を残すことを意識すべきなわけですから、連絡することはし、相談することはし、コミュニケーションを図ることからは逃れられないのです。というよりも、逃れようとしてはいけません。
全ては将来の自分のためになる、キャリアアップにつながると思うようにしてください。その思いがあれば、よりビジネスライクに仕事に打ち込めるようになり、多少辛いことがあったとしても、それを乗り越えるモチベーションにもなってくれるでしょう。
ビジネスライクとは、考え方を切り替えること。それがうまくできるようになれば、どんなに苦手な人がいても問題なく自分の仕事をこなしていくことができます。
見方を変化させることで成功した転職者の実例
Tさんは公務員として働いていましたが、一般の企業へと転職し、その企業で社長と密接にコミュニケーションを取る仕事を任されることになりました。
その社長は一代でその企業を成長させた人で、そのせいか少しワンマン経営なところも見られました。自分の思うようにならないことがあると、すぐに社員を叱る、それが当たり前のような企業だったのです。
Tさんは、そんな企業に入社したことを不安に思っていましたが、今更それを考えても仕方がないと割り切り、それよりもなぜ社長がこんなに怒ることがあるのかを考えるようにしました。
社長が社員に対して怒ることにはパターンがあることを発見したTさん。よく見てみれば、それは決して八つ当たり道理の通っていないものではなく、大なり小なり社員にも原因があることがわかったのです。
するとその社長に対する見方が変わり、確かにワンマン経営的な部分はあるものの、それは全て企業を大きくし顧客や消費者に満足を与えるためであると気がついたのです。
社長は細かい部分にも気を配り、社員が気にしないところにも注意を払う人でした。Tさんはそうした細かな点にも手を抜かないよう仕事をするようにしました。
そして社長とそれまで以上に密にコミュニケーションを取り、徐々に関係性が深まるようにもなりました。気づけばTさんは社長のお気に入りの社員の一人となり、より重要な仕事を次々と任されるまでになったのです。
最初は不安を抱えていたTさんも、今は企業選びも正しかったと認識し、「この転職は大成功だった」と心から思うことができたといいます。
「この社長は嫌だ」、「この人は面倒臭い」というネガティブな思考ばかりで頭を埋め尽くしてしまっていたら、Tさんの転職はこのような結果にはならなかったでしょう。Tさんは少し意識を変え、「なんでこの人はこんななんだろう」と考えたからこそ、その真意を知ることができ、転職の成功を実感することができたわけです。
あくまでも一例ではありますが、転職者にとっては十分に参考になる例なのではないでしょうか。
おわりに
転職に成功している人は、新しい企業に入社した後の行動に成功している人とも言えます。転職することで成功するわけではなく、採用をもらうことで成功に至るわけでもない、この意識を最初から持っているかどうかが重要です。
特に自分の思いとは異なる結果をもし受け入れることができれば、あるいは考え方や見方を変化させることができれば、その時にやっと転職の成功が見えてくるのではないでしょうか。
転職エージェントを利用したりキャリアコンサルタントのサポートを借りることも重要です。ただ、それはあくまでもサポートに過ぎず、転職の成功というものは、結局は、自分自身で転職後にどう行動するか、これにかかっていると認識しておきましょう。