転職活動を有利にするために、資格を取得する人もいますが、資格を取得したからといって、必ずしも転職が有利になるとは言えません。

なぜならば、現実的な話として、転職した後には資格を取得していることよりも、実務経験のほうが重要視されるケースが多いからです。

とはいっても、履歴書の免許・資格の欄が空白になるようでは、ちょっと気が引けてしまいますよね。

本来、資格とはその人がある程度の専門的な知識や技術、スキルがあることを証明するものです。

転職活動を行う上で、専門性の深い職種の求人に応募する際には、資格を持っていなければ採用されにくい場合や、応募自体ができない場合もあります。

ある特定のジャンルの仕事での実務経験がない人は、転職が不利になる可能性もありますが、実務経験がなくても資格を取得していれば採用されるチャンスはおおいに希望が持てます。

そう考えると、資格を取得するためにスキルアップに励み、履歴書に堂々と資格欄に書けるようになると、転職活動をより有利に進めることができると考えて良いでしょう。

職種で役に立つ資格や希望するジャンルに見合う資格を取得すること

それでは、これから転職活動を行うのに、どのような資格を取得すれば有利になるのでしょうか。

ひと言で資格とはいっても、医師や看護師、弁護士などの「士」がつく資格として国家資格、この他には公的資格や民間資格と大きく3種類に区分されます。

資格の種類が多く、転職に有利になるようにあれもこれもと欲張って、資格を取得する人は向上心旺盛で素晴らしいとは思いますが、転職を有利にするには、志望する職種や業種によってもさまざまな違いがあります。

たとえば、珠算検定や簿記検定の1級を取得している人が、IT系やクリエイティブ系の仕事をしたいと思っていても、この分野とはまったく異なるジャンルですから、あまり意味がありません。

このような資格を現場で活かすのなら、経理事務の求人に応募すれば、転職に有利になるかと思います。

資格を取得するなら、今後のキャリアとの関連性が深い資格試験や検定試験にチャレンジして、スキルアップを目指すと良いでしょう。

不動産業界で仕事をしたいと思うのなら、国家資格の宅建(宅地建物取引士)の資格取得を目指すのも良いですが、一般企業の経理事務やクリエイティブ系の仕事を希望している人がこの資格を取得しても、職種や業種が異なるため、あまり意味がありません。

転職活動を行う中で、今後はどのようなジャンルに転職したいのか熟慮した上で、転職した後に資格を活かせるものであれば理想的ですね。

ジャンル別！転職活動を有利にする資格とは？

ここでは、今後の転職活動を有利にするものと思われる資格について、ジャンル別にわかりやすくまとめてみました。

職種ごとにおすすめの資格がいくつかありますが、その職業の特徴などから見ると、仕事の現場で役に立つ資格についてよくわかると思います。

営業の仕事に就きたい人に！中小企業診断士やTOEICがおすすめ

今や車社会ですから、営業の仕事をするには自動車運転免許証は必須の資格となります。

営業の仕事では、社内にいる時間が少なく、1日のうち大半は外出するので、車の免許がなければ話になりません。

外回りをするのに、その都度、バスやタクシー、電車を使っていたのでは、経費がかさむ上に仕事効率が悪くなりますので、車の免許は必須です。

企業によっては、英語力を重視するところもあります。

とくに、外資系企業や海外との取引をしている企業、貿易会社への転職を目指す人は、英会話や文章力が求められます。
英語検定1～2級、またはTOEICで800点以上を取った人は、しっかりとした英語力がある人だと評価されます。

企業によっては、海外出張や海外の取引先との交渉力が強い人材を求めているので、TOEICの試験でスコアが高い人は、転職がより有利になることもあります。

この他には、国家資格として中小企業診断士と呼ばれる試験がありますが、とくに経営コンサルタントを目指す人におすすめです。

国家試験ですから難易度が高く合格率が低い分、この資格を有する人はまだまだ少ないようですが、この資格を取得すれば社会的にも信頼度が高くなりますので、将来的には独立・開業を目指すこともできます。

簿記やパソコンの資格は経理事務への転職をより有利に

今や事務の仕事をするには、簿記やパソコンに強い優秀な人材が求められるようになりました。

簿記には工業簿記と商業簿記と2つの分野がありますが、経理事務の仕事をするには、商工会議所主催の日商簿記検定2級以上の資格を取得しておくと、転職が有利になる可能性があります。

日商簿記検定2級以上の資格を取得すると、損益計算書や貸借対照表などの決算書類の作成ができるほどのレベルに達することができます。

実際の仕事の現場で、とくにこのような書類を作成する機会がないとしても、それぞれの表の見方がよくわかるようになりますので、ビジネスやプライベートでもおおいに役立つことと思います。

経理事務は、女性に人気の高い仕事であり、求人が出ると応募者が殺到することもありますので、日商簿記の資格を取得している人が優遇される可能性はおおいにあります。

さらに、MOSなどのパソコン関係の資格を取得しておくと、転職がより有利になる可能性があります。

MOSとは従来のMOUS試験のことをいい、「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」の頭文字をとった呼び方です。

MOS試験は、ワード2016・エクセル2016・アクセス2016・アウトルック2016・パワーポイント2016のマイクロソフト系のソフトに関する試験が実施されており、一般試験としてスペシャリストレベル、上級試験としてエキスパートレベルに区分されています。

なお、MOSの試験は公的資格に区分されており、これらの試験に合格した人は、マイクロソフト系のソフトを専門的に取り扱える人材として認められます。

事務系に有利な資格としては、この他にも漢字検定や習字、秘書検定などがあります。とくに、社長秘書を目指す人は、秘書検定1級に合格すると、秘書としてのビジネスマナーをしっかりと身につけることができます。

システムエンジニアへの転職を目指す人に！国家資格の情報処理技術者試験

今やIT業界への就職・転職を目指す人が急増しており、とくにシステムエンジニアの仕事は人気が高く、応募者が殺到することもあります。

IT系の資格には、国家試験の情報処理技術者試験が年1～2回実施されていますが、基本情報技術者、応用情報技術者などの基本・応用からソフトウエア開発、システムアーキテクト、データベーススペシャリストなどの難易度の高い試験まで多くの種類があります。

IT系でSEへの転職を目指すなら、基礎をしっかり固めて応用的な知識と技能、さらには硬度な知識と技能まで身につける必要があります。

数多くの国家試験の情報処理試験の中でも、基本情報技術者はIT系の入り口であり、ソフトウエア開発、さらにはシステムアーキテクト(従来のアプリケーシションエンジニア)の国家資格の取得を目指すことをおすすめします。

国家資格の情報処理資格の中でもこの資格は高度に区分されており、この資格を有する優秀な人材が求められているので、転職に有利になることは間違いないでしょう。

この他には、情報セキュリティスペシャリストやシステム監査技術者などの国家試験が実施されており、情報システムの評価や調査に関わる資格として存在しています。

販売の仕事に転職するなら販売士の資格取得

意外とあまり知られていないのですが、公的資格として販売士と呼ばれる資格が存在しているのをご存知でしょうか。

販売士という言葉のニュアンスからも想像がつくとは思いますが、流通業界で働く人や物を販売する仕事に就職・転職する人におすすめの資格です。

簡単にひと言で言えば、販売業のプロフェッショナルであることを証明するための資格と考えて良いでしょう。

販売士の資格は、流通業界では唯一の公的資格ですが、実際に販売の仕事に携わっている人でも、この資格を有する人はまだまだ少ない状況ですから、取得しておくと転職に有利になる可能性が高いようです。

女性に人気のアパレル業界への転職を目指す人も多く、ファッション販売能力検定と呼ばれる試験にチャレンジしてはいかがでしょうか。

ファッション関係の商品を販売するための知識と技能を身につけられることはもちろん、将来的にお店を経営したいと考えている人にもおすすめの資格です。

色彩検定やDTP関係の資格はクリエイティブ系の転職を目指す人に

クリエイティブ系に転職したいと考えている人も多く、専門的な知識と技能を身につけるためにスクールに通う人もいれば、通信講座を受講してスキルアップを目指す人もたくさんいます。

そんな中で、クリエイティブ系、とくにDTP関係やWEBデザイナーへの転職を目指す人におすすめの資格は、色彩検定やカラーコーディネーターの試験があります。

色に関する試験には東京商工会議所主催のカラーコーディネーター検定試験、色彩検定協会主催による色彩検定などがあります。

色に関する専門的な知識を身につけておくと、DTPやWEB制作での現場で資格を活かせることはもちろん、プライベートでもおおいに役立てることができます。

しっかりとした色彩に関する知識を身につけておくことで、よりクオリティの高い印刷物やWEBサイトの制作ができるようになれば、職場で優秀な人材と認められることでしょう。

WEB制作に携わる人には、WEBクリエイター能力認定試験が実施されているので、資格取得にチャレンジしてはいかがでしょうか。

HTMLやCSSなどのコーディングに関する知識と技能を身につけられることはもちろん、WEBデザインの基本的な知識から応用、専門的な知識と技能を身につけることができます。

現在WEBクリエイターとして仕事をしている人も、今後はこの分野での仕事をしたいと目指している人にとっても、自分の実力を把握するためにもチャレンジする価値は十分にあります。

希望する職種に見合う資格を取得してスキルアップを目指そう

転職に有利と思われる資格について、ジャンル別に紹介してきましたが、この他にもまだまだたくさんあります。転職を成功させたいと思い、資格取得に向けて勉強に励むのはとても良いことですが、その前に今後のキャリアプランについて、じっくりと考える時間をとりましょう。

冷静になってよく考えてみると、自分が希望する職種に転職するのに、どのような知識と技能が必要なのかが自然に見えてくるはずです。

転職を成功させるためには、まずはキャリアプランを明確にすること、そして資格を取得するためにしっかりと勉強することです。

資格の種類によっては難易度が高くて、1発合格できないこともあるかもしれませんが、じっくりと時間をかけて努力を積み重ねて、何度かチャレンジすれば合格レベルに達することでしょう。

このような貴重な経験を今後の転職活動に活かすことができ、おおいにアピールできるようになります。

転職活動をより有利にするために、そして転職を成功させるためにも、しっかりとした目標を立ててスキルアップに励み、資格を取得しましょう。