これだけは押さえておきたい!転職に成功するための認識と選択
終身雇用制度も崩壊へと近づき、近年では転職の1回や2回決して珍しいものではなくなってきました。そもそも、大学生の時に決めた就職先が自分に必ず合っている人はどれくらいいるのでしょう。社会人となり、さまざまな世界を見ていく中で他にやりたいことが見つかったり、職場を変えたいと思うことはごく自然なことなのです。
その時に知っておくと武器になる、賢い転職の知恵と情報をまとめました。ぜひ参考にしてください。
転職希望者が転職前に認識しておくべきこと
転職を決意しても、実はそれが認識不足であることも少なくありません。「活動すれば転職できるだろう」などと簡単に考えてはいないでしょうか。そのままでまるでギャンブルのように危険な行為になることを知っておきましょう。
転職成功者は意外と少ない
実際のところは、転職活動をしたからといって必ず転職できるとは限りませんし、転職できたとしてもそれを成功と呼べるかどうかはわからないという方がリアルです。
少し厳しい言い方をすれば、本当の意味で転職に成功する人は、転職活動をした人の中でもごくわずかに限られます。「転職に成功できるのは、それを望んでいる人の5%程度である」と証言する転職エージェントのスタッフがいるほどです。この数字は極端に少ないものではなくリアルな数字であり、転職の現実を表していると言えます。
もしいま転職を考えているのであれば、そこにはリスクがあることを理解しましょう。そして、転職エージェントに登録すれば絶対に転職できるわけではないことも知っておきましょう。厳しさを感じる方もいるかもしれませんが、それは逆です。
この意識があれば、おそらく持っていない人よりも慎重に、そして堅実な転職活動を行うことができます。そもそも転職のタイミングも図り損ねることなく、成功に近づくことができるからです。
転職に成功できる人が多く生まれない理由
なぜ転職に成功できる人の割合がこれほどまでに少ないのでしょうか。それは、主に以下のことが考えられます。
- スキルや実績が足りないため採用したいと考える企業が少ない
- 条件や待遇にこだわり過ぎて応募先がかなり限定されてしまう
- 転職活動を甘く見ており適切な準備や活動をしていない
スキルや実績が足りないのに転職を希望する人も非常に多い傾向があります。転職が当たり前の時代になると、こうした人たちが増えてくるのも自然なことです。しかし、スキルも実績もない人を雇いたいと考える企業など当然ながら存在していません。
転職エージェントに登録しキャリアコンサルタントに相談したところで、能力がなければ紹介できる企業・求人は出てくるはずもなく、結果、転職できずに終わってしまうケースも少なくないのです。
条件や待遇にこだわり過ぎるのも禁物です。転職において条件等は非常に重要な要素となることはわかりますが、一つの会社で働き続けた方が給与の額が上がっていくのは当然で、転職した途端にそれをアップさせることは現実的ではありません。しかし、どこで得た情報なのか、「転職すれば収入が増える!」などと信じ転職を試みてしまったがために、それに見合う企業が現れず、現れたとしても採用のハードルや倍率が高いめ、それを突破できないという状況に陥ってしまうのです。
スキルや実績がない、あるいは条件や待遇にこだわり過ぎている転職希望者をまとめた表現になってしまいますが、やはり多くの人が転職を甘く見ている傾向があります。
実際に、転職エージェントのキャリアコンサルタントに、「もっと良い案件を紹介しろ」、「なんで採用されないんだ」とクレームを入れる人もいるほど。100%転職できると踏んで転職エージェントに登録したものの、その甘い考え方から大した準備も対策もせずに活動しキャリアコンサルタントに任せっきりにした結果なのかもしれません。
クレームは入れないまでも、同じような状況で転職できずにいる人は実はいま多いのです。それだけ、この転職というものを軽く考えているのかもしれません。
本気で転職したいと思っており、それに失敗したくないのであれば、根本的な考え方を改めることです。自分自身を客観視し、市場価値の高低をしっかりと把握した上で転職活動に乗り出すことが重要です。
転職を真剣に考えるべき人とは
日本は職業選択の自由が保障されているため、転職も自由です。しかし、ここではあえて「転職を真剣に考えるべき人」を考えてみましょう。裏を返せば、ここで挙げる特徴に当てはまっていない人は、今はまだ転職を決行するタイミングではないのかもしれません。
企業は優秀な人や若い人材を求めます。市場価値を考えた場合、どちらか一方でも備えていれば転職を成功させるチャンスは十分にあるでしょう。
日本には解雇規制があるため、正社員として採用する場合、企業はその選択を非常に慎重に行います。丁寧に応募者の選別を行う企業が増えてきているので、転職が自由にできる時代になってきたとは言うものの、その分、採用のハードルは上がってきていると考えるべきでしょう。
このことを踏まえて普通に考えると、20代から30代前半の人や、あるいはそれなりの実績を残している人は、転職を試みる価値が高いことがわかります。
もちろん若くてもそれなりのスキルが備わっていなければ採用したいと考える企業は出てきません。職務経歴書にしっかりと書き込めるだけのキャリアがあるのであれば、年齢は関係なく転職を真剣に考えても問題はないのではないでしょうか。
同じ会社にいても、もう経験できることはほとんどないと感じている人も、転職を真剣に考えてみましょう。その会社で結果をしっかりと残していることが条件となります。
成果をあげているにも関わらず、新たな仕事を任されることもなく、同じことの繰り返しで自分の能力が発揮できない。そうであればその能力を他の企業で生かそうと考えることは当然です。そして転職活動をしても成功できる可能性が高いはずです。
このように、新たなチャレンジでどんどん転職へと踏み切るべき人もたくさんいます。「もっとできるのに、でもこの会社では無理だ」、「これまでのキャリアを生かして他の仕事に取り組んでみたい」という意欲があれば、かなり高い確率で転職に成功できるでしょう。
結局は客観的な自己分析ができるかどうかが転職の成功と失敗を分けることになるでしょう。ポジティブな転職である必要があるのです。
転職に成功することのないネガティブな思考
転職に成功するのは、チャレンジ精神があったり上昇志向の高い人。転職活動を行なっても成功する可能性が高くなる傾向があります。逆に、「今の嫌な人間関係から脱したい」、「給与が低いから不満だ」、「今の仕事が肌に合わない」などネガティブな理由で転職を考えている人は、おそらく転職には失敗してしまうでしょう。転職でき職場を変えることができたとしても、似たような不平不満を再び持つ可能性が高いと言えます。
職場を変えることで、今抱いている不安や不満がなくなるとは思わない方が賢明です。そのような思考や理由で転職を考える人が非常に多い。それを否定するわけではありませんあ、成功と失敗という観点で見たときには、ネガティブな理由での転職はどうしても失敗する確率が高くなってしまうのです。
そもそも理解しておかなければいけないのは、パラダイスのような職場はないということ。働いている人全てと気が合って、給与も高いのに残業や嫌な仕事を任されることがなく、しかも福利厚生が充実している、そんな職場はほとんどありませんし、あったとしても、そんなところで働けるのは余程の才能を持った人のみ。
にもかかわらず、そうした夢のような会社があるのではないかと勘違いし転職を試みてしまうために、多くの人が失敗する羽目になっています。
少し厳しい表現ばかりだったかもしれませんが、これが現実であると受け入れましょう。その上で覚悟を決めて転職活動を行えば、甘い考え方のみだった頃よりも成功する確率が高まるのではないでしょうか。
転職エージェント利用時の注意点
転職エージェントの特徴
転職をするのであれば、準備の一環として転職エージェントに登録しておくことを強くお勧めします。ほかにも人材紹介会社や転職サービスなど複数の呼び名がありますが、サービスの内容そのものはどれも大差ありません。
登録すると専任のキャリアコンサルタントがつき、その人が求職者とコミュニケーションを取りながら求人を紹介してくれるのが、転職エージェントです。
それだけではなく、応募書類のチェックや添削、面接対策やそれに関するアドバイス、応募先企業への条件交渉、円満退職のためのアドバイス、その他転職にまつわるあらゆるサポートをしてくれます。転職希望者に手厚いサポートが充実している転職エージェントの存在は、望む仕事探しに欠かせません。
転職エージェントはいくつかのタイプに分けることができるのですが、ここでは、分業タイプと担当タイプの両者に分けて掘り下げていきましょう。
分業タイプというのは、エージェントの登録時にやり取りをするスタッフと、実際に企業や求人を紹介してくれるキャリアコンサルタントが異なるタイプです。
このタイプはエージェントとしての規模が大きいため、その分、取り扱っている求人が多く、また、連携している企業が多い点に特徴があります。多くの求人・企業の中から選べるわけですから、求職者にとってもこの点はメリットとなり得るでしょう。
担当タイプというのは、分業タイプと異なり、最初から最後まで関わるキャリアコンサルタントが同一人物であるエージェントです。
「こんな仕事をしています」「こんな転職先を探しています」という最初の相談から求人の紹介、そして、上で紹介したようなあらゆるサポートも1人の担当コンサルタントが担ってくれます。そのため意思の疎通が図りやすく、より深い関係性を持ちながら転職活動を進めていけるというメリットがあります。
求職者とキャリアコンサルタントがどれだけコミュニケーションを取っているかは転職の結果に大きく影響しますから、この点を考えると分業タイプのエージェントに登録する価値が出てくるのかもしれません。
どちらのタイプにもメリットがあることは押さえておきましょう。その上で、ここからはさらにどの点に注意しながら転職エージェントを利用すべきなのかを考えてみましょう。
重要なのはエージェントではなくコンサルタント
実際に登録・利用する際に最も意識すべきは転職エージェントそのものではなくキャリアコンサルタントであることは間違いありません。
しばしば、「エージェントの規模が大きくて大手が運営しているから」「CMなどでも見るし聞いたことのあるエージェントだったから」という理由で登録・利用する転職エージェントを決める人がいます。これも一つの決め方ではあるものの、転職の成否のカギを握るのはエージェントという組織そのものよりも、むしろ、その中で働く個々のコンサルタントの能力なのです。この点を知っておいてください。
例えば同じ病院で働いている医師が、全て同じ能力を持っているとは限りませんよね。中には腕のいい医師もいるでしょうし、逆に、そこまでではない医師もいるはず。企業の中にも、優秀な営業マンと成績を残せない営業マンがいるはずです。
エージェントも同じこと。同じエージェントに所属しているからといって同じ能力や情報量を持っているとは限らず、誰に依頼するかで転職の結果は変わってきます。
キャリアコンサルタントは、登録した人から話を聞き、「この人の能力や経歴や希望であれば、この企業がいいのではないか」と考えてマッチングを行います。このマッチングはユーザーを見極める能力を持ち、企業の求める人材像をしっかりと把握していなければ適切には行えません。
優秀なキャリアコンサルタントはこのマッチング作業を正しく行うことができます。逆に経験の浅いコンサルタントや、そもそも能力の低いコンサルタントは、このマッチング作業も上手にできず、ユーザーの要望に応えることができないことも多々出てきてしまうのです。
転職エージェントに登録するときには、エージェンを見つけるという感覚ではなく、「優秀なキャリアコンサルタントと出会う」という感覚を持っておくことです。ここを間違えなければ、さらに転職の成功へと何歩も近づくことができるでしょう。
優秀なコンサルタントの選び方・見つけ方
どのようにして優秀なコンサルタントを見つけていけばいいのでしょうか。
まずは必ず複数の転職エージェントにコンタクトを取ることを忘れないようにしてください。最初から1つのエージェントに絞り込む必要はありません。登録も利用も無料のエージェントが大半ですし、1人の転職希望者が複数のエージェントに登録することも問題はありません。評判のいいエージェントには積極的に登録してみましょう。
多くのエージェントのスタッフと接することで、自ら良し悪しを体感することができます。転職希望者とコンサルタントの相性も重要なため、それは直に感じ取るしかありません。
評判という言葉を出しましたが、キャリアコンサルタントの評価にも違いが出てくることがあるので、その点もチェックもしてみましょう。ネットを使えば、「あのエージェントのこのコンサルタントの人は、知識量も豊富で親切でアドバイスも適切だった」などの評判も見つけることができます。
もちろん、周りに転職エージェントの利用経験者がいるのであれば、そうした人たちに話を聞いてみるのもいいでしょう。
転職サイトによってはエージェント名だけではなく担当のコンサルタント名が掲載されていることもあり、そうした人たちをチェックすることで、「この人はこの業種に強いんだな」ということもわかるかもしれません。
キャリアコンサルタントを指名することは可能です。気になるコンサルタントが見つかったのであれば、その人に担当してもらえるよう登録の際に申し出てみるといいでしょう。
また、同じエージェント内でも、もし担当のコンサルタントに不満を持てば、その人を別の人に交代してもらうこともできます。積極的に自分と相性がよくて優秀なキャリアコンサルタントを見つけていきましょう。
コンサルタント選びで転職に失敗した例
転職しようと考え転職エージェントへと登録したMさん。登録の際に話を聞いてくれたエージェントスタッフはとても雰囲気がよく、「この人とだったら上手にコミュニケーションを取りながら転職活動ができそうだ」と感じていました。
しかし、実際に登録した後にMさんの担当についたのは、その人とは別のキャリアコンサルタント。このコンサルタントは最初に話を聞いてくれたスタッフとは異なり、なんだか感じがあまり良くなく、適切なコミュニケーションも取れているとは思えませんでした。
そのキャリアコンサルタントが紹介してくれる求人もMさんが望むものではありません。やはり、「自分のことをわかってくれていない」と感じてしまったMさん。
しかも、「<さんの経歴だと、これ以上良い案件はありません」といったことも言われ、そのキャリアコンサルタントへの愛想も尽きてしまいました。
実際に紹介された企業にも応募してみたものの全敗。書類審査の段階で振るい落とされ、面接に進むことすらできませんでした。
Mさんは、キャリアコンサルタントの態度や仕事の出来なさ、そしてなかなか転職先が決まらないことに腹を立てクレームを入れたところ、相手もさらに態度を悪化させ、収拾がつかない状態に。
このままではまともな転職はできないと、Mさんは転職活動そのものをやめてしまいました。
この例では、決してこの転職エージェントが悪かったわけではなく、明らかにMさんを担当したキャリアコンサルタントに問題があったと言えるでしょう。ただ、勘違いしてはいけないのは、全ての登録者に対してこのキャリアコンサルタントがこのような対応をしていたと決め付けることはできない点です。もしかしたら、ただMさんとの相性が悪かっただけという可能性も否定できません。
いずれにしても、コンサルタント次第で転職結果が変わってくることがあるのは間違いありません。それを念頭にエージェント&コンサルタント選びをするようにしてください。
おわりに
ここで紹介したのは、転職する人が知っておくべき知識と心得ですこれらのことを認識しているか否かで転職結果も大きく変わってきます。
転職を決意したら、あとは進むだけ。エージェントのコンサルタントとしっかりとコミュニケーションを図り、二人三脚で転職を成功させていくことです。優秀なコンサルタントと出会い、高い意識と冷静な認識さえ持っていれば、望む転職へ確実に歩みだすことができます。ぜひ参考にしてください。