うつ病による休職から現場復帰するまで
うつ病による休職から現場復帰するまで
うつ病になってしまう方の割合は年々上昇する傾向にあります。
1996年の統計では43万人以上、2008年には104万人以上、2016年には111万人以上というデータがあります。
2008年以降急激な増加はなくなっているものの、引き続き100万人以上の方がうつ病などの気分障害を患っていることになり、日本人口の127人に1人の割合です。
仕事でバリバリ働いていた方でも急にうつ病になることもありますし、職場の環境によってうつ病になってしまう方も多くいらっしゃいます。
うつ病が発症してしまったゆえに仕事を続けることが困難になり、休職する方も少なくありません。
では休職した後の職場復帰まで、どのようなステップがあるのでしょうか?
■病院での治療や療養
休職したばかりであれば、最初に行なうべきことは療養もしくは治療です。
もちろん早く復帰しないと家族を養えない、自分は仕事に復帰できないのではないかと考えてしまうこともあるかもしれません。
しかしうつ病によって休職しているという現実を忘れないようにしなければいけません。
頭の中が仕事のことで一杯になっている間は、まだまだ休養が必要であると言えるかもしれません。
まずは医師との協力の元に治療や療養を進めることだけに集中し、仕事に対して客観的な見方ができるようになるようにしましょう。
■うつ病に対して正しい見方を持つようにする
きちんと主治医のアドバイスを聞き、順調に回復しているのであれば、うつ病に対して過度のマイナスイメージを持たないようにすることも大切です。
「一度うつ病になってしまうと再発の可能性が高い」「休職をした人は新しい職場でも休職する」というようなネガティブな考えです。
こうした考え方を持っていると、再就職へポジティブな見方を持つことができず、リスタートを切るきっかけを逸してしまうかもしれません。
確かにうつ病になってしまったという事は事実です、またうつ病になって方の中には再発する方もいます。
しかし、全ての方が同じように再発しているわけではなく、職場復帰できている方もたくさんいます。
「うつ病になった経験を自分にとってプラスにする」これくらいの気持ちを持っている方が良いでしょう。
もちろん、すぐにこうした見方を持つことは難しい事ですし、無理やりこうした見方を持つことは病気に対しても良くありませんので、今の自分の見方について定期的に主治医に尋ねるようにしましょう。
■休職中の収入
「休職中に収入がなくなってしまうのではないか」という不安のため、無理やり仕事を続けている方もいらっしゃいます。
しかし会社によっては休職中であっても、給料が支払われるという制度を取り決めているところもありますので確認しましょう。
仮に会社にそのような制度がなかったとしても、休職中でも一定の収入を得るために「傷病手当」と呼ばれる制度もあります。
うつ病が発症した場合であっても、健康保険に加入していればこの傷病手当金が国から出ることになっていますので、限界を超えてしまう前に休職申請をすることも大切です。
■面接でうつ病の事を話さなければいけないのか?
主治医からうつ病の状態が回復しているので、職場復帰の許可がおりた場合、転職活動が始まります。
転職のための履歴書を書いたり面接を受けたりする時に、前職をうつ病で休職し、転職することになったという事を伝える義務があるのでしょうか?
休職していた期間は前職に在籍しているので、履歴書に空白期間ができる事はないでしょう。
しかしうつ病の治療は通常1年は必要と言われているため、長期になれば履歴書の中に仕事をしていない離職期間が発生してしまいます。
しかし履歴書のこうした部分を過度に心配しないようにしましょう。
現在多くの方がうつ病とは関係なく転職をしているので、仕事が空白になっている期間があるものです。
問題は面接の時に、この空白の期間について尋ねられた場合です。
こちらの反応は「正直にうつ病であった事を話す」「主治医の許可があるので話さない」という2種類になります。
最初に理解しておかなければいけないのは、うつ病について話さなければいけない「義務はない」ということです。
確かに企業側の考えでは、うつ病の方の採用を見送るという傾向があるのも事実です。
この現実の中でどのように答えるべきかを決めなければいけません。
病気について伝えないメリットは、面接で公平な評価を受けることができるようになります。
デメリットとしては、新しい職場ではうつ病への配慮を一切受ける事ができなくなるという事です。
病気について伝えるメリットは、職場に置いてうつ病への理解があるので過度の負担がなくなります。
デメリットは面接の段階で落とされる可能性が高くなるという事です。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、主治医と相談しながらどちらを選択するのかを決める必要があります。