タイトルにした「広い視野をもって柔軟に対処できる人材に期待」というのは何も新入社員や若手にだけ求めるものでもなく業種、職種問わずに求められることだと思います。
私は40代の中堅デザイナー職の会社員ですが、広い視野を持つことで問題も解決しやすくなったり、別の解決方法があったりするということもあることからなるベくそう心がけるようにしています。
基本的なあいさつ・電話対応ができない人は意識改革から
私が入社したころはバブルもはじけておりいわゆる就職氷河期の初期のころなので就職活動も苦労しました。その後の世代では氷河期が続き、超氷河期になったりもしたので就職のための準備なども以前の学生などよりも徹底的に訓練されている感じがします。
特に優秀な新人は、基本的なあいさつや電話対応などを教えなくてもすでにできているということも以前の入社が簡単だった世代に比べれば今さら求めることにもなっていません。ただゆとり世代がたたかれているように、個人差でかなりこういった基本的なこともできない若手もいることも確かです。こういう基本ができない人はまずそこから意識改革が必要ではないかと思います。
デザイン職として特に感じるのは技術や知識に関するスピードが速いということです。特にパソコンのソフトでは実際のところ若い世代のほうが習熟して使えることがあります。現在の定年間近の世代ではまだある程度、ソフトも使えますがそれでも20代と比べると20代の若い世代のほうが使いこなしています。
だからといって50代はスポーツ選手のようにある年齢ぐらいから引退しなければいけないということはなく、いわゆるディレクター的な仕事にシフトしていくことで存在価値はあります。ただ、若い人はそういうこともわからなくて自分のほうがIT知識やデジタル技術に長けていたりすると勘違いをして自分のほうができると思ってしまう人もいます。
こういう発想では何かトラブルがあったときにパソコンで解決できることならいいですが、組織的な協力で解決できることや、取引先の協力で解決できこと、また発想の転換で優先順位の見直しで解決できることなどより広い解決方法を導き出せることはできません。そういう広い視野からの解決方法は長い経験からくるものだというのをわかってもらいたいと思います。
広い視野・柔軟な対応はどの世代でも必要
ただ年齢がくれば誰しもディレクター的な仕事やマネジメントができるということではないので常に知識や技術のブラッシュアップは欠かせないと思います。今は自分自身が若い世代で最先端のITスキルや技術を今の世代の中では優位であっても、次の世代もどんどん下から来ることを考えれば、ある程度対応できる知識、技術、スキルを維持し新しくする必要があります。
それらは苦痛に感じたり、無理をする必要はないと思います。職業人生は長いのでそれらを乗り越えるペースでできる範囲でいいのです。若い世代はとにかく受験まではがむしゃらにとか就職までになんとかする傾向があって優秀な人は無理をしてしまう人も多いと思います。
一方でそうでない人は早々とあきらめてしまい同世代でのギャップも大きくなってしまっているように思います。そのような傾向は今までの自分のやり方だけでどうにかしようとすると壁にぶつかってしまいます。その壁を広い視野でみることによって別の乗り越える方法やルートがある可能性があります。柔軟さというのは年齢とともになくなってくるように思われがちですが、年代関係なしにそういう柔軟な対応というのは必要ではないかと思います。
デザイン業界というのも技術が変わるとあっという間に仕事の種類なども変わってしまい、仕事がなくなったり、無駄な知識となってしまったりします。しかしそういう無駄になった知識も現代に生かしながら柔軟に今の仕事にも生かすことができるという発想をもてる人材を多くの人が求めていると感じます。