ビジネス文書の中でも特に儀礼的な側面が強く出る文書のことを、社交文書という風に呼びます。社交文書を作成する際は、定型分に沿って記入をしていくというのがとても重要になります。
「ビジネスライクな関係」と言ったりもしますが、仕事上の人間関係は希薄なものと思われがちです。ただ、そんな薄い関係の中でも、挨拶状や祝賀状などの社交文書を送ることで、仕事上の人間関係も円滑になることがあるのです。社交文書は、通常の実務に関する文書とは違って、礼儀や敬愛の意を示すことが非常に重要になります。そうしたことから、形式ばった文書であったり、格式を守った言葉遣いや敬語表現が必要になってくるのです。
社交文書を作成する際に必ず抑えておかなければならないこと
社交文書は、一般の手紙と同じように格式を示す必要があることから、縦書きで記入をするようにして下さい。また、原稿用紙やレポート用紙などの普段の業務で使用するような用紙は、相手に失礼にあたりますので気をつけて下さい。
社交文書に記入する時候の挨拶
社交文書は格式を重んじますので、一般的な手紙を書くときと同じような礼儀作法を入れる必要があります。手紙の礼儀作法として時候の挨拶を入れるのが一般的ですので、社交文書にも時候の挨拶を必ず入れるようにして下さい。時候の挨拶は定型文化されていますので、いつの時期にどの挨拶を使用すればいいかを覚えれば、難しいことはありません。
以下に、月ごとの時候の挨拶例をご紹介しておきます。
時候の挨拶例
<1月> 厳寒の候、初春の候、寒さことのほか厳しき折から、松の内も明けて など
<2月> 余寒の候、梅花の候、立春とは名ばかりの寒さの折、余寒のみぎり など
<3月> 早春の候、春暖の候、日差しうららかな今日この頃、浅春のみぎり など
<4月> 陽春の候、桜花の候、春たけなわの折から、桜花爛漫の季節を迎え など
<5月> 新緑の候、若葉の候、青葉若葉の風薫る五月、若葉がまぶしいこの頃 など
<6月> 梅雨の候、向暑の候、あじさいの花咲く頃、暑さも日増しに加わり など
<7月> 盛夏の候、猛暑の候、太陽がまぶしい季節、酷暑のみぎり など
<8月> 残暑の候、晩夏の候、残暑厳しき折から、炎暑の夏もしだいに遠のき など
<9月> 清涼の候、初秋の候、そぞろ涼風の立つ頃、一雨ごとに秋めく など
<10月> 秋冷の候、仲秋の候、木の葉も美しく色づいて、天高く馬肥ゆる秋 など
<11月> 晩秋の候、向寒の候、秋色日増しに深く、冬も間近に迫り など
<12月> 寒冷の候、初冬の候、年の瀬もいよいよ押しつまり、木枯らしが身にしみる頃、あわただしい年の瀬を迎え など
社交文書の基本的な構成パターン
・頭語・・・社交文書の場合は、親しい間柄でも「前略」は使用せず「拝啓」などを使用します。
・前文・・・時候の挨拶をした後にご機嫌伺いを続ける、というのが最も改まった印象を与えることになります。
・主文・・・「さて」「つきましては」と1拍置いて、本題に入っていきます。
・文末・・・「まずは」などの起辞で本文の終りを示して結びます。
・宛名・・・縦書きの場合は、最後に宛名を記入します。
・発信年月日・・・文書を作成した日付は必ず記しましょう。
・結語・・・「敬具」で文書を締めくくります。
挨拶状
挨拶というのは、ビジネスの付き合いでは基本中の基本になります。仕事の節目の際には、関係者の方々に一言でも挨拶をすることで、人間関係が円滑になります。挨拶状を作成する場合は、社名や住所、電話番号といった細かな情報もきちんと記入をするようにして下さい。相手が文書をパッと見ただけで分かるように、箇条書きで書いておくといいでしょう。
挨拶文ですので、縦書きが基本となり、礼儀を重んじた言葉遣いを心がけ、改まった言い回しを使用して下さい。また、挨拶状を送るタイミングも非常に重要になってきます。
礼状
感謝の気持ちを伝えることが目的ですので、改まった言い回しにこだわり過ぎずに、バランスを考えながら自分の言葉を入れつつ礼儀も重んじた文書にしましょう。
お悔やみ状
慰めの言葉を、心を込めて書きます。使用する封筒は、絵入りや色つきなど明るい印象を与えるようなものは良くありません。
不幸なことが続いてはいけませんので、お悔やみ状の文書には、繰り返しの意味を持つ重ね言葉(重ね重ね、たびたび、再び、いよいよなど)は使用しないようにしなければいけません。普段は何気なく使用する言い回しですので、気をつけるようにして下さい。